Bedroom Audio Style

寝室で、気負わずに良い音と気持ちの良い住環境を求めていくトコロです。

キース・ジャレット・トリオ 枯葉 Still Live

オーディオシステムとリスナーの関係はプレイヤーと聴衆にほぼイコールだと思っている。それはオーディオを演奏家とみなすものではなくライヴ会場に迷い込んだのではないかと錯覚するほどに熱中する体験をStill Liveで味わったからだ。自分のやっていることを否定するような発言だが、優れた演奏にはマイクから始まる狭雑物の良し悪しに関係なく全てを通り抜けてくるような何かがある気がしてならない。

Still Liveはどんな夜でも人をくつろがせ、元気づけ、疲れた足を一歩前へと踏み出させる、そういった盤だ。キース・ジャレット、ゲイリー・ピーコック、ジャック・ディジョネットと各楽器のスターが集まってできたスーパーグループ、そういう見方もできる。しかしこの演奏を聴いていると互いのプレイだけでなく、その呼吸までも聴きとって燃料に変えているかのような燃焼を感じる。ただスターが集まって、さっと作られた盤ではない。トリオ結成からの数年が凝縮したようなそれほど密度の濃い内容であるにもかかわらず、ある種の穏やかさまでもを内包し、彼らの生のありようをあるいは我々までも巻き込んで斎場とするがごとく楽器を歌わせているのである。

ライヴ録音を感じさせない完成度と、その場にいるような錯覚を味わうようなステージイメージが特徴。右手にピアノ中央にベース、中央から左右に広がるドラムと、少々変則的な配置。少し遠めに位置取り、ステージと観客という意識を持たせるような印象。ベースのゲイリーピーコックは広い音域を使うプレイヤーで、彼のベースを聴いているだけでも低域から中域までのシステムをチェックすることが可能だ。ドラムのアタック音にダイナミクスを感じるか、立ち上がりは早いか、ピアノに透明感があるかなどがオーディオ的な聴き所といえる。