Bedroom Audio Style

寝室で、気負わずに良い音と気持ちの良い住環境を求めていくトコロです。

オーディオマニアの定番優秀録音CD 〜ピアノ編〜vol.2 HELGE LIEN TRIO SPIRAL CIRCLE(ヘルゲ・リエン・トリオ スパイラル・サークル)

よい音とかよい録音とはどんなものでしょうか。人によっては息をのむような美しい音かもしれませんし、聴いていてとてもくつろげるような自然な音かもしれません。我々は主観的に、あるいは相対的に過去の音楽的体験から、これはいい録音だと決めているわけですが、その音楽的体験の中にぜひ加えてほしい生々しさを持ったソフトがあります。それが今回のヘルゲリエントリオのスパイラルサークルです。2002年2月、ノルウェーオスロ、レインボースタジオという所で録音された本作は、スイングジャーナル誌のゴールドディスクにも選定されています。規格品番はDIW-627。

このCDと巡り合ったのは去年か一昨年の東京インターナショナルオーディオショウのFOSTEXブースでした。GX250MGをメインにデモをしていた記憶があります。その時にG2000で聴いたのが七曲目のTAKE FIVEでした。冒頭からドラムソロで始まるのですが、この生々しさたるや、これがCDに収められている音源だとでも言うのかと唸った記憶があります。圧巻のドラムソロの次には野太く引き締まったベースが顔をのぞかせた後におなじみのフレーズと共にピアノが現れます。とてもスリリングな演奏です。ベースのボウイング奏法の表現も聴きどころの一つだと思います。ピアノの音の粒立ちも良く、オスロのスタジオの空間を切り抜いてきたのではないかと錯覚するような録音です。

このTAKE FIVEを我が家で再生するとFOSTEXブースで聴いた時よりも俗に言う所のスピード感が後退していることにすぐ気づきました。トランジェントの良さは現代スピーカーにはかないませんね。FOSTEXの純マグとでは勝負するところが違います。しかしそれでもかたち良く品よくがモットーのSX-700も結構頑張っていて、それなりに鳴らしてくれます。

アルバム自体はスリリングな演奏ですが少々難解で地味なところがありますので、とっつきにくい部類の内容です。しかしこれが聴き馴染んでくると詩的な表情の裏に隠された凄みに気づかされる素晴らしい演奏です。

Spiral Circle/スパイラル・サークル
ヘルゲ・リエン・トリオ
ディスク・ユニオン (2002-08-25)
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