Bedroom Audio Style

寝室で、気負わずに良い音と気持ちの良い住環境を求めていくトコロです。

ラヴェルピアノ作品全集 ルイ・ロルティ ravel complete works for solo piano-lortie

オーディオをやる、とは変化を楽しむことだと僕は思っている。機器の入れ替え、アクセサリーの付与なども変化を求めての行動だ。それは音楽そのものに対してもそうだ。レコードやCDが提供する音楽は変わらないが、音楽は聴き手の精神状態や音楽体験によってどんどん変化する。新たな発見もあるだろう。誤解を恐れず極論を言えば、オーディオシステムをもってしても、まったく同じ演奏は不可能だ。そしてすぐにつまらない演奏のカテゴリに入れられず、何度も感動を与えてくれる演奏が名盤と呼ばれるものの正体だ。

LOUIS LORTIE(ルイ・ロルティ)のラヴェルピアノ作品全集はラヴェルの色彩感を余すところなく描き出そうとしている。千変万化に富む彼の演奏はあくまでラヴェルの意図に忠実で演奏者のエゴイズムなど、どこ吹く風といった趣だが、退屈の罠に陥っていない。すばらしい演奏だ。

いくら演奏が良くても音が良くなくては楽しめないという方もいらっしゃると思うが、その点でもロルティのラヴェルは良いといえる。ピアノの響きを確実に捉え、様々な音色が舞い散るようだ。全体を通して輝くような音色がよく拾われており、機器の変化に鋭敏に反応するため、オーディオチェックにも最適。友人へのデモンストレーションにも良い。大車輪の活躍をするディスクではあるが、やはりじっくりと時間をとって演奏の変化を楽しみたいものだ。