Bedroom Audio Style

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オーディオマニアの定番優秀録音女性ヴォーカル・マラソン・レビューvol.5 Jacintha HERE'S TO BEN-A Vocal Tribute To Ben Webster(ジャシンタ ヒアーズ トゥー ベン)

音楽好きの人よりもオーディオマニアの方がその名を知られているのではないかと一部で囁かれる人、ジャシンタ。シンガポール等で活躍するジャズヴォーカリスト。一時のちょっとしたXRCDリバイバルに乗っかって入手したのはHERE'S TO BEN。ベン・ウェブスターに捧げられたアルバムということだが、こういう名前を付けることで、誰もが知ってる楽曲を並べたという印象を払しょくできていいアイデアだ。それにスタンダードなら安心して購入できる。このジャシンタ、オーディオマニアにはつとに有名で、このアルバムを出してきたということは、もうネタ切れなのだとばれてしまう可能性が高くて後回しにしていた感はある。それほど高音質なアルバムを叩き出してきた人だ。澄んだ声と巧みな歌唱力を持ち、東南アジアというルーツからアメリカ・カナダ辺りの歌手との違いも楽しめる。入手したのはXRCD2の輸入盤。型番はFIM XRCD 020と思われる。

僕は寡聞にしてこのHERE'S TO BENしか聴いていない。そのうち別のタイトルを入手するかもしれないが、それはある種の度胸試しになるだろう。何を言っているのかさっぱりわからないと思うので、どういうことか説明しなければならないだろう。このアルバム、誰が聴いても高音質、好録音だとわかる。それはオーディオマニアが所持するような、いかつい機材でなくともわかるレベルだし、PC用のアクティヴスピーカーで聴いてもわかるものはわかる。たとえAACの128kbpsに圧縮したとしても録音の良いものは良いし、イイ音なのだ。しかしながら、多くの方がレファレンスにしているだろう、ダニーボーイでは、ジャシンタの歌唱はワンコーラスのアカペラの後、熱唱を通り越して絶唱の域に入り込んでいるのではと錯覚するほど。感じすぎかもしれないが聴いていて少々痛く苦しいのだ。生々しいとはこういうことを言うのかもしれない。我が身を斬られるような音。リップノイズは、はっきりわかるほどの透明度、明瞭さを持ち、レコーディンスタジオが我が家に復元されるような錯覚を覚える。ダニーボーイ以外の楽曲はその生々しさを活かしたくつろぎ感のある楽曲が多く、様々な聴き方に対応する。つまり素晴らしい内容だが、ダニーボーイだけが突出して癖があるトラックなのだ。これを容認できれば最良のジャズヴォーカルのひとつになりえるかもしれない。

HERE'S TO BEN (XRCD2
HERE'S TO BEN (XRCD2
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Jacintha
Fim [1st Impression] (2012-06-01)
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XRCD2盤だけでなく、通常CD、SACDハイブリッドとあるようなので、聴き比べなどしても楽しそうだ。