Bedroom Audio Style

寝室で、気負わずに良い音と気持ちの良い住環境を求めていくトコロです。

恐怖!和室の甘い罠

それまで自分の部屋としていた七畳半の洋室を追い出され現在の四畳半和室で寝起きするようになった。数年前のことだ。当然オーディオも引っ越した。それまで使っていたのは自作のロクハンフルレンジとVICTOR SX-11、TECHNICS SB-500などだ。今思えばセッティングもずいぶんいい加減なものだった。なにしろ和室に移ってきてまったく勝手がわからないのだ。手探りではじめたが、難敵とも言える条件があった。それは畳の上にはイグサの敷物をしいて使うことだった。剛性など皆無でぐらぐらの床である。吸音だけはばっちりだったが。

まずはじめに僕がしたことは、ただポンと置いて聴くことだった。意外にもそれなりに鳴った。特にボワつくこともないのが好印象だった。それをよいことに暫くはそれで楽しんでいたのだ。SX-700を衝動買いしてからもポン置きだった。買って暫くは嬉しくて冷静な判断などできない。SX-700から音が出ていればそれで満足。これ以上の喜びがあろうか。

しかしある時気づいてしまった。店で視聴したときの雄大な低域はどこへ行った。よく広がってはいるが、音に芯のようなものがない。これはどういうことだ。そこからは試行錯誤の連続。厚みのある合板、レンガ、コンクリブロック、どれもだめ。組み合わせてもよくない。問題はスピーカーを手で押すとぐらぐら揺れるほど柔らかい畳とイグサだった。

とにかく重量物を、そして鳴きが少なくほどほどに硬く平らなもの。ネットを駆使して情報を集めると御影石が良いらしい。よし試す。ホームセンターへ行って400×400×12mmほどの白い御影石を2枚ずつ買って試す。まだ足りない。何度も通ううちに御影石の厚さは5cmを越えた。そこでやっとぐらつきから開放されたのだ。

どんなものを敷いてもそうなのだが、素材の音が乗ってしまう。それがオーディオの難しいところで、御影石も例外ではない。厚みを持って使うことで石材系の鳴きは大分抑えられるが若干の緩さと高域の癖は残った。ならば共振のピークを分散させるためにハイブリッドにしよう。木材は試したが剛性が足りず芯がない。何かないものかと探すうちに、タイルと大理石を張り合わせた素材を見つけた。これを御影石の上に乗せると締りが出た。

人は調子に乗るとやりすぎるものらしい。また違った鳴きが出てきてしまった。さてどうすると思案した結果、さらにハイブリッドすることに。もう一枚御影石を足し、フェルトをスピーカー直下に敷き石材の合間に滑り止めシートを挟むことでほぼ解決できた。これらは少しずつ追加していったもので、実は数年がかりの大作(笑)なのだ。