Bedroom Audio Style

寝室で、気負わずに良い音と気持ちの良い住環境を求めていくトコロです。

母に捧げるスピーカー。CELESTION(セレッション) SL6Sを聴く

母がスピーカーシステムを欲しいと言い出したのは七月頃でした。それまで母はヘッドホンで音楽を聴くというスタイルに満足していたようだったので、急にどうしてと僕が聞くと、ヘッドホンは暑いとき蒸れるのと、CDプレーヤーから離れなければいけないときにヘッドホンを外さないといけないのが、つまらないと言うのです。これは新しいスピーカーを導入するチャンスです。母の要求は小型スピーカーであることでした。僕はネットでひたすら検索をかけ、また近隣のリサイクルショップを駆けずり回ってリーズナブルな価格のCELESTIONのSL6Sを見つけました。最後まで迷ったのはダイヤトーンのDS-200Zでしたが、こちらはウーファーの硬化が顕著で、かなり手を入れないと低域不足に悩まされることになりそうなので今回は見送りました。実はメインスピーカーと定価で比べるとややSL6Sの方が高価という何ともな話であります。


さて我が家にやってきた英国のプリンスSL6Sですが、メインシステムに繋いで音出しすると若干眠たいご様子。目覚ましにXLOのテスト&バーンインCDのディマグネタイジングを2種類と15分のシステムバーンインをかけました。効果のほどは定かではないのですが、新しい機器が来るとおまじない的にこれをやります。本領発揮とまではいかないものの、大分目が覚めた様子で、特に死んでるのかと思わせるくらい元気のなかったツィーターも鳴るようになりました。

それから一か月近く鳴らし込みを行いました。感じよく鳴るようになったので、インプレを書きたいと思います。メインスピーカーの上に設置するという劣悪な環境ではありますが参考になれば幸いです。

SL6Sは英国CELESTIONの小型スピーカーでウーファーは15㎝のポリ系と思われる化学材料を用いています。ツィーターは3.5cmアルミドームです。能率は初期型のSL-6から2dBアップした84dBとそれでも低能率です。しかしこの2dBのおかげで普通のアンプでも鳴らしやすくなったと言われています。ウーファーの小ささから、低域をあきらめるのではなく能率を下げ、アンプのパワーによって大きく動かすことで低域の再生を確保するという発想は現代の小型スピーカーの原器と言えるのではないでしょうか。

そのウーファーから放たれる低域はよく広がり、量感もあり、パイプオルガンの最低域などを求めなければ十分満足のいくものです。ツィーターはアルミドームというイメージから想像されるシャリっとしたところはまるでなく、エッジが丸みをおびている感じです。不必要に痛い音を出してくるようなことがありません。しかし、解像感や音の分離感はしっかりと描き出すので非常に不思議なスピーカーです。ツィーターとウーファーの繋がりが良く個々のユニットの癖を感じさせません。音のバランスは良くも悪くもピラミッドバランス。これが大きな個性と言えると思います。録音の粗は隠さず出してしまう方です。やや側板が鳴いているようですが、そんなに箱鳴りを利用して音色を作っている印象は受けません。そう感じさせない巧さがあるのでしょう。音色としては淡麗でそっけないくらいです。小音量で聴くよりも音量を上げた方が断然良く鳴ります。小型スピーカー独特の空間表現を持ちながら低域も諦めていないスピーカーというのがしっくりくると思います。

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