Bedroom Audio Style

寝室で、気負わずに良い音と気持ちの良い住環境を求めていくトコロです。

キュートな声質の実力派シンガー、エミリー・クレア・バーロウ(Emilie-Claire Barlow)ザ・ヴェリー・ソート・オブ・ユー(The Very Thought of You)

数年来の友人は日本の女性ヴォーカルものが好きでよく聴いている。それならばとJAZZヴォーカルものを薦めてみるのだが、一向に首を縦に振らない。その友人によれば声が力強すぎて駄目なのだそうである。要はごついのだ。僕はそこで一寸、なるほどなと納得してしまった。JAZZには声も技術も華やかさも持ち合わせているシンガーはたくさんいる。けれども、友人が好むような、可憐で愛らしいキュートな声質のシンガーは、寡聞にして知らなかったのだ。僕も少々意地になってしまって、よくよく探したらいた。

エミリー・クレア・バーロウはカナダ出身のヴォーカリスト、にとどまらずプロデューサーとアレンジャーまでこなす才媛だ。曲目はスタンダードや古い歌曲、ボサノヴァものまで。才媛という言葉から窮屈さや生真面目さをイメージされるかもしれないが、そんなことは微塵もなく、非常にくつろいだ雰囲気を持っている。そうかと思えば、スキャットでその歌唱技術の高さをさらりと示してみせたりするのである。前作ライク・ア・ラヴァーの素朴でオーガニックなサウンドから一転、リッチでラグジュアリーな現代サウンドで、昼カフェから夜のバーへ姿を変える粋なカフェバーの様でもある。特にオーディオマニアの方にはVery Thought of Youのラグジュアリーサウンドは一聴の価値がある。僕はヴォーカル物のチェックをこの盤でまずしている。色々かけるのはそれから。まずはエミリーなのである。

声とバックのアンサンブルが本当に気持ちの良い盤。決して安っぽくない癒しと情熱を得られる音だ。